英語赤面録 失敗は恥じだが役に立つ

今でこそTOEIC満点の英語教師ですと大きな顔をしていますが、英語修行時代は間違い失敗の連続でした。失敗は恐れず恥じず繰り返さず。ミスから学ぶ実践英語ブログです。

She is boring.

これは(幸いなことに)、私自身が犯した間違いではないが
私の目の前で実際に起こった「事件」である。


しかも、「赤面」などという生易しいものではなく
あわや流血の惨事に至りかねなかった。


今から10年以上前のこと……


彼女はオーストリアから来た留学生で、名前はAlison。
非常に社交的で気の強い(肉体的にも強靭な)女性だった。


そのAlisonが日本人の友人や、他の留学生を招いて居酒屋で開いたパーティーでのこと。


いつもは元気なAlisonが、ふと考え込むような仕草を見せて、人々の話の輪に入ろうとしなかった。


それを見ていた、ある日本人の女性が、


「ああ、アリソンは退屈しているわ」


と、思ったのだろう。


思っただけなら、よかった。


彼女は、それを口に出した


しかも


決定的に間違った英語で……


日本語には、「退屈する」という自動詞がある


「驚く」、「喜ぶ」、「わくわくする」などといった


自動詞もある


けれど、英語はどうだろうか


この日本人女性(仮称Aさん)は、「退屈する」はboreだから


「退屈している」は、boringだと思ったようだ。


それからあとのことは、今思い出しても背筋が寒くなる


Aさんは、声に出して、しかも大きな声で


Alison is boring!”


と、言ったのだ。


Alisonの顔が青ざめ、一瞬悲しそうな表情から


一転して羅生門の鬼のような形相になった


その場を取りなすのは大変だった。


boringとは、人を退屈させる(つまらない)という意味。



That movie is boring! (あの映画、つまらねえ)
What a boring joke! (なんとつまらない冗談だ!)
Alison is boring!(アリソンって、つまんねえ奴)


という具合に。


じゃあ、退屈「する」という動詞はないのか?


ない。


退屈させられる(be bored)ならOK。


驚くという動詞も


ない


驚かされる(be surprised)ならOK


わくわくするという動詞も


ない


わくわくさせられる(be excited)ならOK


これらは分詞形容詞といって、日本人が文法を学ぶ際の大きなネックの一つだ。


しかし、ちょっとした(と言った本人は思っただろう)言い間違いが


喧嘩の原因を作ることがあり得ると考えたなら


やはり、おそろしい。


だからといって、失敗を恐れていては前に進めない。


失敗は恐れず恥じず繰り返さず。


明日に向かって、生きていこうよ。



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